活動報告
日本国際交流センター(JCIE)は、2020年6月12日に、第1回 民主主義の未来 Webinar -台湾とインドネシアから学ぶ、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)と民主主義の未来 – を開催しました。本ウェビナーは、去る2月27から28日に開催を予定していた国際シンポジウムが、Covid-19の感染拡大により中止したことを受け、そのモメンタムを繋ぐため、非対面方式で開催したものです。
台湾とインドネシアから2名のアジア市民社会のリーダーをパネリストとして招き、日本のCSOリーダー、学者、メディアや米国の民主主義関連団体からの参加者30名とともに、Covid-19 が民主主義の価値や市民社会に対して与える影響、そして民主主義の将来について意見交換をしました。
ウェビナーで討議された議論は以下の通りです。
会議要旨
パンデミック下における開かれた民主的な社会の基盤を維持するためには、迅速な対応、透明性、政府への信頼、説明責任が、需要な要素です。しかし、命と人権をどう線引きするか?については、明確な答えが無いのが実情です。様々な国が様々な方法を用いて対処しています。しかしながら対処は、リスクを軽減する目的で行うべきであり、人権を脅かすものであっては決してななりません。行き過ぎた統制や侵害にならないように、市民社会は常に監視をする必要があります。
ポストコロナ時代において、市民社会は大きな挑戦を受けています。世界的に閉鎖性が高まり国際協力が減少する中、市民社会はどう活動すればよいでしょうか。Covid-19により、市民社会だけでなく、政府、国もリソースが枯渇しています。ODAがこれまで以上に緊急援助に向けられ、従来通りの資金援助が出来なくなる可能性もあります。SDGsの達成も後退していく恐れもあります。SDGs Goal 16 (平和と公正すべての人に)の達成には市民社会のネットワークや経験と知識が重要です。
これらの問題を解決するには一人だけ、一国だけでは不可能です。すなわち、国際協調、国際協力が過去にない程求められています。効果的かつ効率的に成功に導くためには、市民社会のネットワークや経験と知識が重要な役割を果たします。市民社会のメンバーがやるべきことはたくさんあります。
民主主義の未来プロジェクトの概要
冷戦終結により共産主義は自壊し、勝利した自由と民主主義が世界に拡散していくと信じられていました。ベルリンの壁崩壊から30年が経った今、世界各地では権威主義的統治手法が拡大し、先進民主国でさえポピュリズムの台頭でぐらつき始めています。今日の世界において、民主主義は顕著に後退していると言っても過言ではありません。
こうした問題意識を踏まえ、JCIEは、国際秩序と普遍的価値が現在どのような脅威にさらされているのかを理解し、日本としてどのような政策を展開できるのか検討する研究プロジェクト「民主主義の未来 -私たちの役割、日本の役割」を2018年に開始しました。
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