活動報告
第27回日独フォーラムが、10月17日から19日の3日間にわたりドイツ・ベルリンで開催されました。日独フォーラムは、1992年の宮沢・コール日独首脳会談により設立が合意され、1993年2月に発足した民間レベルの対話フォーラムで、日本国際交流センター(JCIE)は第1回より運営等の協力をしています。
今回のフォーラムは、ニールス・アンネン独連邦外務政務次官主催のレセプションに始まり、2日間の本会議は、連邦議会議事堂内で日本側の小林栄三座長(伊藤忠商事株式会社特別理事)とドイツ側のマティアス・ナス座長(ディ・ツァイト紙外信局長)の進行により行われました。プログラム、参加者および討議要旨は以下のとおりです。
プログラム
参加者
討議要旨
第1セッションでは、米国などによる国際的枠組みからの離脱や、経済力・軍事力などのハードパワーに基づく秩序への挑戦が目立つ国際情勢を中心に議論が行われた。英国のEU離脱や、EU諸国におけるポピュリズム、ナショナリズムへの傾斜、通商や安全保障などにおける多国間レジームの危機、環境問題など地球規模の諸問題などについて議論され、ルールベースのリベラルな多国間主義を擁護していくために求められる日独両国の役割と実践についての様々な提案が行われた。
第2セッションでは、日独両国の政治、経済情勢を中心に議論が行われた。ドイツ側からは、直近の州議会選挙の結果、その背景にある社会の不確実性の高まり、従来の政党政治・政治教育の問題と課題などに触れ、政治のイノベーションの必要性を強調した。日本側からは、自民党の総裁選についての分析や、少子高齢化と地方の衰退とその対応、外国人労働者の受入れ、長期政権をめぐる課題と展望などが話し合われた。
最終日に行われた第3セッションでは、人工知能(AI)がテーマにあげられた。AIをめぐる中国、アメリカと日本、ドイツの状況、製造業を中心とした日独両国の長所とデジタルとの融合、自己情報のコントロール等データ利活用における課題、データやデジタル技術を活用した新たな付加価値産業の課題と可能性などについて議論が交わされた。
会議終了後は、独連邦首相府にて、ヘルゲ・ブラウン独連邦首相府長官兼特命担当大臣との会談が設けられた。会談では、英国のEU離脱をめぐる交渉の状況や、ドイツ国内政治と社会の課題、デジタル化と産業政策、日独の協力の可能性についてのブリーフィングと質疑応答が行われた。
本会議に出席された朝日新聞の三浦俊章編集委員と、株式会社日本総合研究所国際戦略研究所の田中均理事長の記事が、メディアに掲載されました。本会議でのドイツの国内情勢に関する出席者の発言ポイントや、議論の様子が紹介されています。
・「ヨーロッパの優等生ドイツのつまずき これは<ワイマール>の再来なのか」
(朝日新聞GLOBE+(プラス)「ことばで見る政治の世界」)
2018年11月2日
(電気新聞 「時評 ウェーブ」)
2018年11月9日