活動報告
日本国際交流センター(JCIE)は2022年7月5日に、
「外国ルーツ青少年未来創造事業」(以下、SYDRIS)の一環として、第6回ネットワーク会議をオンライン形式で開催しました。今回は、SYDRISの助成先団体の関係者をはじめ、JCIEとの連携事業に基づき助成先団体への支援活動に参加している住友商事株式会社の社員・事務局、一般財団法人 日本民間公益活動連携機構の関係者計約40人が参加しました。
今回の会議は、「団体として、領域としての広報、ファンドレイジングを考える」をテーマに、外国ルーツ青少年に関わる事業を展開する団体とこの活動領域全体という二つの観点から、広報やファンドレイジングをどのように考え、実行していくべきかを探索することを目的としました。
外国ルーツ青少年関連団体と領域における広報、資金調達の課題とは
第一部の冒頭部分では、SYDRIS事業の実行団体より、NPO法人アレッセ高岡 理事長の青木由香氏、NPO法人青少年自立援助センター 事業責任者の田中宝紀氏の2名から問題提起を行っていただきました。青木氏からは「散在地域における事業運営、組織運営の課題を踏まえた広報、資金調達の課題」をテーマとして、外国ルーツの要支援児童生徒が少ないため、学校や地域内で支援に対する議論が始まらない、また専門性を備えた人材を確保することが難しい散在地域において、いかに広報と資金調達を通じたマンパワーの充足、そしてマンパワーの充足が学習支援事業の量・質改善につながる好循環を作っていくべきかという論点を提示していただきました。田中氏からは、「外国ルーツの青少年に関する領域全体としての課題」をテーマとして、外国ルーツ青少年の課題が社会的に認知されつつある中で、外国ルーツ青少年が抱えている複合的な課題が伝えきれず、浅い発信にとどまっている現状から脱却し、領域全体としてどのような支援をどの程度必要とするのか、明確かつまとまったメッセージを打ち出す必要性について述べていただきました。
成功事例から、広報、資金調達へのアプローチを考える
第一部のメインパートとして、NPO法人難民支援協会代表理事の石川えり氏、及び株式会社コモンセンス代表、ニッポン複雑紀行編集長の望月優大氏にご登壇いただき、各団体における広報及びファンドレイジングの考え方についてご講演をいただきました。石川氏からは「難民支援協会におけるファンドレイズ」とのテーマで、難民支援協会の立ち上げから今までのご経験をもとに、組織運営のための資金調達の観点から、過去の助成金主体から寄付金主体の収入構造へと変化していった様子をご紹介いただき、その背景としてのサポーター制度の導入と、寄付金を増やすための広報戦略についてお話をいただきました。望月氏からは「ニッポン複雑紀行とNPOの情報発信について」、ウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」における情報発信の目的、記事作りの方針についてご紹介をいただき、現在、団体としてやるべき情報発信とは何か、個々の情報発信の目的とは何かを明確にし、実行のためのリソースの確保を含めた計画を立てることの必要性について述べていただきました。
広報、資金調達活動における課題、対応策を共有する
以上、SYDRIS事業実行団体からの問題提起と石川氏、望月氏の講演を受けて、第二部では、ブレイクアウトルームにてSYDRIS事業実行団体メンバー及び石川氏、望月氏を交えたディスカッション及び質疑応答の時間を設けました。石川氏にご参加いただいたグループでは、主に「安定的資金調達のための戦略」をテーマに議論がなされました。事業運営のベースを助成金等に頼っている団体では、今後のバックオフィス機能強化や支援の質向上のための寄付・会費収入の拡大を含めた資金調達のあり方が話し合われ、事業運営に必要な安定的な収入を得ている団体においては、今後の事業拡大のための収益構造の改善に向けた戦略のあり方が話し合われました。また、望月氏にご参加いただいたグループでは、主に「情報発信や広報のあり方」をテーマに議論がなされました。まず各団体から広報、情報発信の課題が共有され、目標、ターゲット、見せ方をどのように整理していくべきかについて話し合われました。
資料
・参加者
今までのネットワーク会議