活動報告

 

第28回日韓フォーラムが、2020年11月13日に東京とソウルの会場をテレビ会議システムで結んで、開催されました。日韓フォーラムは、1993年に細川護煕総理大臣と金泳三大統領との日韓首脳会談に基づき設置された民間レベルの政策協議のためのフォーラムで、Korea Foundationが韓国側事務局を、日本国際交流センター(JCIE)が日本側事務局を務めています。日米間の民間レベルの会議である「下田会議」をモデルとして、未来志向の日韓関係の在り方を検討するために、両国のオピニオン・リーダーの参加のもと、政治、経済、文化など幅広い分野にわたり両国の交流の推進を図っており、1993年以来、毎年開催されています。

 

本年度は、当初、8月に東京で会議を開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い延期し両国関係者で検討を重ねた結果、この度のテレビ会議での開催となりました。初めての試みでありましたが、画面を通して両国関係者約40名が率直な意見を交換しました。また、ソウル会場に参加した李洛淵(Lee, Nak Yon)共に民主党代表;前国務総理が特別基調講演を行いました。サイドイベントとして、日韓の学生による第5回日韓ジュニアフォーラム、第4回日韓フォーラム賞授賞式が、開催されました。

 

第28回日韓フォーラム プログラム  日本側参加者   韓国側参加者

 

日韓フォーラム討議概要           

第1セッション「日韓両国の国内政治と社会状況」では、両国内政状況が共有され、懸案の徴用工問題に対する両政権のスタンスや特に菅政権の外交アプローチ、日中韓首脳会談への日本の参加や早期の日韓首脳会談実現の可能性、両国世論が外交関係に影響をもたらす現状などについて、議論が交わされました。韓国側からは実務主義的な菅政権下での日韓関係改善への期待が示されました。

 

第2セッション「米国大統領選挙後の米中関係と東アジアへの影響」では、バイデン新政権の対中政策を中心とした外交政策の見通しに関して分析が行われました。米中対立の長期化が予想される中で、日韓が知恵を出し合い、米中関係をマネージする必要性が指摘された他、同盟を重視するバイデン政権が日韓関係の改善に関与するのではないかとの見通しも示されました。また、北朝鮮の非核化は、米中や日韓にとって共通の利益であり、対立を緩和するテコになり得るとの指摘がありました。

 

第3セッション「日韓政治経済関係の課題と展望」では、特に喫緊の課題として徴用工問題に焦点があたり、日韓基本条約と日韓請求権協定の法的正当性の扱いについては、日韓両国の立ち位置や特に韓国内での政治・司法の立場などを巡り、忌憚のない議論の応酬がありました。一方、改めて、政治問題が経済的結びつきに影響しないように配慮することや両国の考え方の違いを踏まえた対応、両国世論における世代間の相違などにも議論が及びました。

 

第4セッション「総合討論:コロナ後の日韓社会の変化と協力の可能性」では、コロナ禍での両国お互いの見方や今後の日韓協力の見通しについて具体的な提案を含んだ意見交換が行われました。政治の結びつきの強化や個別の問題に固執しすぎる両国政府の姿勢に疑問符が示され、企業間協力や両国共催で行われている芸能プロジェクトなどの例などから、両国が協力し補い合う事により、世界に通用する共創が実現するのではとの期待が表明されました。

 

 

第6回日韓ジュニアフォーラム

第6回日韓ジュニアフォーラムが、日韓フォーラムに先立ち、11月9日にZOOMにて開催されました。日韓両国より12名の大学生・大学院生が参加し、「コロナ禍で変わった私たちの生活と日韓交流の行方」を議題に議論を行い、日韓ジュニアフォーラムとして初となる提言「コロナ禍で変わった私たちの生活と日韓交流の行方」をまとめました。また、日韓の学生代表2名ずつが日韓フォーラムの席上、同提言の発表と趣旨説明を行いました。

 

 

 

第5回日韓フォーラム賞

第5回日韓フォーラム賞が、日韓フォーラムの席上、田内基(尹基)社会福祉法人こころの家族理事長に授与されました。田内氏は、長年、韓国孤児や在日韓国人高齢者のための施設運営を通して、日韓両国で社会福祉活動に寄与し、日韓友好にも尽力されています。受賞の辞で田内氏は、韓国孤児のために尽くした亡き母田内千鶴子氏のエピソードや自身の活動を通し、リーダー国となった日韓両国が手を携えて、世界の未来のため、子供たちのために貢献してほしいと念願しました。

 

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