活動報告
米国における日本への関心の低下が懸念される中、日本国際交流センター(JCIE)では米国法人JCIEとの協力で米日財団の助成により、米国ジャーナリスト・フェローシップ・プログラムを実施しています。米国での世論形成に影響力のあるジャーナリストを日本に招聘し、日本社会の様々な分野のリーダーや組織との幅広い対話・交流を通して、日本、日米関係についての理解を深めていただくとともに、日本の現在社会についてさまざまな視点から取材・報道する機会を提供することを目的としています。
今年のプログラムは6月19日から7月9日にかけて実施し、米国より、5年以上の経験を有するジャーナリスト4名をフェローとして招聘しました。東京での共通プログラムでは、政治家、経済人、学者、シビル・ソサエティのリーダー等、日本の様々なセクターの指導者より、日本の政治、社会、外交、経済、文化およびこれらをめぐる政策課題について一部取材を兼ねたブリーフィングを受け、様々な角度から日本を捉えるべく、活発な意見交換を行いました。その後、フェローらは、1週間から2週間にわたり、各自のテーマに沿って日本各地を訪問し取材活動を行いました。取材テーマは、日本社会の高齢化、TPP、外交政策、金融政策、環境問題などのほか、オリンピックに向けての日本社会の英語への対応、日本で働く外国人、定年延長、自動運転自動車、土佐犬、刺青など多岐にわたりました。また取材先も、大阪府、兵庫県、静岡県、福岡県、徳島県、香川県、高知県と全国のさまざまな地域を訪れました。
来日期間中から報道を開始する記者もおり、最終的に下記18件の記事が新聞やラジオを通じて報道されました。こうした日本での丹念な取材に基づく幅広い報道が、今後の日米関係のさらなる強化に大きな役割を果たすことが期待されます。
2016 フェロ―
ローラ・クーパー(Laura Cooper)
ウォール・ストリート・ジャーナル 記者
2015年11月よりウォール・ストリート(WST)/ダウジョーンズ記者。金融、企業の動向、M&Aなど経済に関する記事が多い。WSTの以前にはオンラインのディール紙でヘルスケア分野を中心に取材。読売新聞にも2年にわたり勤務し、経済、金融、技術など幅広い分野で取材を行った。さらにサザンプトンプレスで編集者を務めたほか、ストーニーブルック大学でジャーナリズムと政治を専攻。日本では、女性の職場での活躍、外国人観光客に対する日本の対応、英語の導入、外国人の受け入れへの対応に関心を持っている。静岡県で交換留学の経験を持つ。
アイナ・ジャフ(Ina Jaffe)
NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ) 記者
全米900以上のネットワークに配信されるラジオ放送局のベテラン記者で主として高齢化についてさまざまな角度から取材し放送している。番組「Morning Edition」と「All Things Considered」では政治、投票、結婚、離婚、仕事、退職、ファッション、スポーツなど高齢者に関するあらゆる側面について扱っている。またスコット・サイモンとともに出演する「Weekend Edition」では、米国で2030年には65歳以上の人口が20%を占めることから「5分の1」というコーナーを担当している。またほかに米国の選挙についても報道の経験が深い。またカリフォルニア州の精神病院内での暴力についての取材では2011年に追求調査記者・編集者賞及びグレーシー賞を受賞。カリフォルニア在住。シカゴ生まれ。ウィスコンシン大学で学士、ディポール大学で修士号を取得。日本では人口減少、認知症、高齢者の雇用に関心を持っている。
ジュリー・マキネン(Julie Makinen)
ロスアンジェルス・タイムズ 北京支局長
東アジアをカバーするロスアンジェルス・タイムズの北京支局長を務める。これまでワシントンポストやニューヨークタイムズの記者も経験。タイムズ紙で10年以上にわたり、国際、ビジネス、文化部門を担当。戦場を含む世界の多くの現場を取材した。オハイオ州出身。コスタンフォード大学で生物学を学び学士号、UCLA東アジア研究で修士号を取得。高校生のときに交換留学生として来日。TPPと未来の車について関心を持つ。2016-17年のスタンフォード大学のジョンSナイト・フェロー。
テイラー・ウォフォード(Taylor J. Wofford)
ニューズウィーク 記者
ニューズウィーク誌では大統領選など政治関係を主として、担当。最近ではキューバを取材し食料安全保障や、ミスユニバース日本代表の宮本エリアナについて執筆。
ニューズウィーク誌に勤務する以前は、フリーランスのジャーナリストの際には文化、犯罪、国際関係、科学技術など幅広いテーマについて執筆。東京での農業、日本のメタル音楽の海外輸出、自動運転車に関心を持つ。
2016フェローの執筆記事一覧
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“Immersive Learning: A Haunted House in Japan Teaches Citizens Earthquake Preparedness” Taylor Wofford, Quartz, November 1, 2016
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“Toilet Power: Toyota Is Using Sewage Sludge to Power its New Electric Car” Taylor Wofford, Quartz, September 20, 2016
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“LBO Focus: Japan’s Aging Population Burnishes Health Deals” Laura Cooper, Wall Street Journal, September 6, 2016
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“Dogfights in Japan Are a Family Outing” Taylor Wofford Newsweek, September 1, 2016
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“NPR Audio Postcard: Japan’s Centuries-Old Tradition Of Making Soba Noodles” Ina Jaffe, NPR, August 28, 2016
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“How Art Transformed A Remote Japanese Island” Ina Jaffe, NPR, August 27, 2016
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“A Dying Japanese Village Brought Back To Life — By Scarecrows” Ina Jaffe, NPR, August 26, 2016
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“For Some Older Adults In Japan, A Chance To Stay In The Workforce” Ina Jaffe, NPR, August 25, 2016
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“93,000 People Voluntarily Left Japan for North Korea After World War II. Or Did They?” Julie Makinen, NPR, August 24, 2016
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“Japanese City Takes Community Approach To Dealing With Dementia” Ina Jaffe, NPR, August 23, 2016
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“Beyond Slurpees: Many Japanese Mini-Marts Now Cater To Elders” Ina Jaffe, NPR, August 23, 2016
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“How Japan is Dealing With Impacts of Supporting the Oldest Population in the World”
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Ina Jaffe, NPR, August 21, 2016
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“Citizen Science Takes on Japan’s Nuclear Establishment” Julie Makinen, Los Angeles Times, July 27, 2016
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“Flush, then Fill Up: Japan Taps Sewage to Fuel Hydrogen-Powered Cars” Julie Makinen, Los Angeles Times, July 31, 2016
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“What’s Hot in Japan Right Now? Los Angeles, Circa 1976” Julie Makinen, Los Angeles Times, July 19, 2016
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“As Japan’s Population Shrinks, Bears and Boars Roam Where Schools and Shrines Once Thrived” Julie Makinen, Los Angeles Times, July 10, 2016
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“No TPP Trade Deal? Some Japanese Farmers Say All The Better For Them” Julie Makinen, Los Angeles Times, July 5, 2016
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“President Trump? Among U.S. Allies, Japan May Be One of the Most Anxious about That Idea” Julie Makinen, Los Angeles Times, June 26, 2016