活動報告
日本国際交流センター(JCIE)は2016年9月10日、世界保健機関健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)との共催で、G7神戸保健大臣会合サイドイベント「グローバルヘルスへの投資:持続可能な開発目標(SDGs)の実現のためのビジネス・ソリューション」を開催しました。
本イベントは、経済界のアクターが保健分野を中心とするSDGsの達成に積極的に取り組んでいる具体的な事例を提供し、「保健への投資」の価値についての関心を促し、その活性化の可能性や課題を話し合うことを目的として開催したものです。民間企業、政府、国際機関、市民社会組織、学術機関より官民連携の具体的な事例が発表され、また今後の課題として以下の点が提起されました。報告は以下よりご覧いただけます。
報告書
課題提起
1. 公衆衛生危機の対応・備えと、平時における保健システムの構築は、本質的に不可分である。緊急時には復興後の保健システム構築を意識し、平時には緊急時への備えを意識した保健システム強化が必要であり、緊急時と平時のシームレスな支援をすることで、復興期での支援不足から起こり得る負のインパクトを回避することができる。そのためには、より現場の実情に見合うよう、援助機関が一方的にプロジェクト期間や期待される成果をあらかじめ決めてしまうのではなく、コミュニティやサービス提供者と援助機関が共にプロジェクトをデザインし、より長期的な視野で計画実施すべきである。
2. グローバルヘルスセキュリティの文脈が変化し、感染症の脅威が急速に国境を越えグローバルに影響する今日、もはや、政府、経済界、学術界、市民社会いずれのセクターも単独ではこれらの脅威に対応することができないことは明らかである。国際社会が掲げた続可能な開発目標(SDGs)を2030年までに達成するためには、組織やセクターの垣根を越えたマルチセクターでの連携が必須である。
3. 企業が持つイノベーションを途上国で活用するためには一企業の力だけでは限界があり、他者とのパートナーシップが必要である。日本における官民連携の事例の多くは、パートナーシップを結ぶきっかけが「偶然」に基づいている。政府がリーダーシップをとり、企業が長期的に取り組める環境を創出するためのルール作りが必要であり、さらに、個々の企業と現場のニーズを組織的なパートナーシップとしてつなげるメカニズムを作ることが求められている。