活動報告

日本国際交流センター(JCIE)は、2019年3月26日に「外国人材の受入れに関する円卓会議」公開シンポジウム「外国人受入れと日本の未来―在留外国人基本法に向けて」(衆議院第一議員会館多目的ホール)を開催し、行政機関、企業、NGO/NPO、メディア、大学・研究機関、外国人コミュニティなどから約200人の方々に参加いただきました。

 

シンポジウムでは、2018年度において円卓会議が検討してきた二つの提言「外国人とともに創る日本の未来ビジョン」と「在留外国人等基本法の要綱案」について公表するとともに、企業及び地域社会を切り口に「外国人受入れと定着にどう取り組むか」について円卓会議のメンバーをパネリストとして迎え議論を行いました。

 

JCIE大河原理事長による開会挨拶

冒頭の開会挨拶にて、円卓会議の共同座長の大河原昭夫理事長は、外国人受入れに関わるJCIEのこれまでの事業の成果とネットワークを生かして円卓会議が発足されたことを説明しました。また、昨年の出入国管理法改正により外国人受け入れが転換点にある今、円卓会議のようなマルチーセクターによる外国人の受入れと定着に関する議論が、本格的な人口減少社会の到来を見据えた長期的な視点を提示する上で重要な役割を担っていることを強調しました。

 

その後、円卓会議の事務局長を務める毛受敏浩執行理事は、円卓会議のこれまでの活動を紹介するとともに、円卓会議として日本に暮らす外国人にかかわる制度の法制化を考慮し提言する「外国人とともに創る日本の未来ビジョン」と「在留外国人等基本法の要綱案」について説明を行いました。また、日本に在留する外国人が増えてきた過去30年間の政策不在による潜在的な問題も含む多くの課題への取組みが不可欠であるだけでなく、アジア諸国が経済成長と高齢化が進展しているなか、競争力のある受入れ制度と受け入れた後の基盤構築のためにも、外国人を日本社会の一員として位置づけ、政府等が責任を持って対処することが求められていると訴えました。

 

毛受事務局長の説明後に行われた山下貴司法務大臣のスピーチでは、政府の新方針は従来と異なる大きな政策変更であり、政府として外国人に選ばれる国になるために全力で取り組んでいることを述べるとともに、外国人受入れについての議論を進めるためにも円卓会議の活動や議論が有意義であるとし、今後の活動への期待を述べました。

 

毛受執行理事による提言説明

山下貴司法務大臣によるスピーチ

 

 

 

続くパネルディスカッションでは、「企業」と「地域社会」を切り口に外国人の受入れと定着を巡る議論を掘り下げました。パネルディスカッションⅠでは、留学生であれ、高度な技術をもつ専門職であれ移動する人々にとって、日本が処遇、教育環境、行政サービスなどの側面から魅力的であるとはいえないという考えが多くのパネリストの共通認識でした。周辺のアジア諸国でも人材の積極的な取込みが行われている中、日本として海外から多様な分野・職種に人材を取り込むには、政府、企業双方が政策及び人事・経営の改善を含めた根本的な取組みを行う必要があることが指摘されました。パネルディスカッションⅡでは、大都市に比べて地方都市において、人口減少が地域の社会経済のあらゆる側面に影響を与え顕在化していく中、外国人が地域経済・社会を支える存在であるとの認識が指摘されました。またそうした認識のもと、地域社会としてのビジョンの策定、外国にルーツをもつ子供の教育機会と結果の平等の確保、安定した就労機会の提供、外国人に関わる自治体の取組みの偏差の解消が重要であるとし、政府、自治体、企業、地域住民が社会全体として取り組む必要性が提起されました。

 

パネルディスカッション「企業は外国人受入れと定着にどう取り組むか」

パネルディスカッション「地域社会は外国人受入れと定着にどう取り組むか」

 

 

国松孝次未来を創る財団会長による閉会挨拶

最後に、円卓会議の共同座長である國松孝次未来を創る財団会長は閉会挨拶で、円卓会議メンバーにより様々な観点から刺激的な議論が行われ、「やさしい日本語」や外国人にとって母語教育のニーズなど、今後議論していくべき多様な論点が提示されたとの認識を述べました。昨年末の改正入管法の国会審議を巡って盛り上がった本問題に関する国民的関心はかつてないものであり、こうした国民的議論を継続させることが円卓会議の重要な役割であると言及し、シンポジウムを締めくくりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

配布資料

円卓会議の提言「外国人とともに創る日本の未来ビジョン」及び「在留外国人基本法の用法案」とシンポジウムのプログラムなどは、こちらをご覧ください。(プログラム、登壇者略歴、提言趣旨及び提言、円卓会議概要及びメンバー名簿、説明資料)

 

報告書

こちらよりダウンロード可能です。

 

 

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