活動報告
日本国際交流センター(JCIE)は、2016年6月29日、米国の主要メディアで活躍しているジャーナリスト3名を迎え、ダイバーシティ社会推進プロジェクトのセミナーシリーズ第1弾「アメリカ大統領選と社会の多様化―アメリカのジャーナリストとの対話」を東京の国際文化会館にて開催しました。日本においてもアメリカの大統領選が注目される中、幅広い分野から70名近くの方にご参加いただきました。
作家の幸田真音氏による進行のもと、アイナ・ジャフィー氏(ナショナル・パブリック・ラジオ記者)、ジュリー・マキネン氏(ロサンゼルス・タイムズ北京支局長)、テイラー・ウォフォード氏(ニューズウィーク記者)による議論が行われました。
ディスカッションでは、大統領選について幅広い視点から意見が述べられ、人口動態の変化、有権者の変化、反エスタブリッシュメント傾向など、アメリカの社会的な変化がどのように大統領選に影響を与えているかが話し合われました。また「女性」という観点から、米国民の女性大統領誕生に対する捉え方・世代間の考え方の違い、女性政治家が抱える課題などについて、日米における政治分野での女性活躍を比較しながら活発な意見交換がなされました。その他にも、英国のEU離脱の大統領選への影響、選挙におけるメディアの役割・責任と公平な報道の難しさ、中国は大統領選をどう見ているのか、についても議論が行われました。
質疑応答では、キリスト教原理主義者のドナルド・トランプ候補の捉え方、若者の間における反エスタブリッシュメント傾向の背景、ポピュリズムの影響、日米安保体制に対する候補者の考え方などについて、多くの質問が挙がりました。日本の報道だけでは知ることができない生のジャーナリストの声を聞くことができ、大統領選をめぐりアメリカが抱える課題を多面的に考える貴重な機会となりました。
スピーカー
アイナ・ジャフィー Ina Jaffe ナショナル・パブリック・ラジオ 記者 全米900以上のネットワークに配信されるラジオ放送局のベテラン記者として、主として高齢化についてさまざまな角度から取材をしている。担当番組「Morning Edition」と「All Things Considered」では、政治、家庭、仕事、ファッション、スポーツなど高齢者に関するあらゆる側面について扱っている。米国の選挙についても報道の経験が深い。カリフォルニア州の精神病院内での暴力についての取材で、2011年に追求調査記者・編集者賞及びグレーシー賞を受賞。ウィスコンシン大学で学士、ディポール大学で修士号を取得。カリフォルニア在住、シカゴ生まれ。 |
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ジュリー・マキネン Julie Makinen ロサンゼルス・タイムズ 北京支局長 ロサンゼルス・タイムズの北京支局長を務め、東アジアをカバーする。ワシントンポストやニューヨーク・タイムズの記者も経験。タイムズ紙で10年以上にわたり、国際、ビジネス、文化部門を担当。戦場を含む世界の多くの現場を取材した。スタンフォード大学で生物学を学び学士号、UCLAで東アジアを研究し、修士号を取得。高校生のときに交換留学生として来日。2016-17年のスタンフォード大学のジョン・S・ナイト・フェロー。オハイオ州出身。 |
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テイラー・ウォフォード Taylor J. Wofford ニューズウィーク 記者 ニューズウィーク誌では大統領選など国内政治を主として担当。最近ではキューバを取材し食糧安全保障問題についても執筆。ニューズウィーク誌に勤務する以前は、フリーランスのジャーナリストとして、文化、犯罪、国際関係、科学技術など幅広いテーマを執筆してきた。 |
【聞き手】
幸田 真音 Main Kohda
米国系銀行や証券会社で債券ディーラーや大手機関投資家を担当する外国債券のセールスを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家に転身。日本の財政問題に警鐘を鳴らした『日本国債』はベストセラー、『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で新田次郎文学賞受賞。日本初女性総理を主人公にした『スケープゴート』がTVドラマ化。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍。財政制度等審議会、政府税制調査会、NHK経営委員会、安倍総理の「日本の美総合プロジェクト懇談会」委員など公職も務める。現在、JT日本たばこ産業、株式会社リクシルグループの取締役。今年度よりJPX日本取引所グループの取締役に就任予定。 http://www.kohda-main.com |