活動報告
「国際保健の課題と日本の貢献」研究・対話プロジェクト 第2フェーズ(2008年8月~2009年6月)
2008年7月に洞爺湖で開催されたG8サミットにおいて、「国際保健に関する洞爺湖行動指針(洞爺湖行動指針)」が示された。2007年9月に発足した「国際保健の課題と日本の貢献」研究・対話プロジェクトでは、過去一年間に醸成された保健システム強化に向けた政治的モメンタムを維持し、イタリアが議長国を務める来年のサミットに引き継ぐため、洞爺湖行動指針の中でも特に強調された「保健システム強化」をテーマに第2フェーズの活動を開始した。
本フェーズでは、G8合意の行動指針に基づき、G8および世界の諸団体が取るべき保健システム強化に向けた具体策を明確にし、その具体策を実施するための協力体制を醸成することを目的とする。具体的には、G8サミットでも提案された保健医療人材、保健情報(保健システムの評価とモニタリング)、保健財政の3つの政策分野を取り上げ、プライマリー・ヘルス・ケアの再構築、個別の疾病対策の強化、保健に関わるミレニアム開発目標(MDGs)の達成、そして、世界中の人間の安全保障の確保を推進する包括的な保健システムをいかに構築しうるかを検討する。また、これらの検討を通じて、G8サミットが、国際保健の政策形成においてどのような形で、より積極的に触媒的な役割を果たしうるか探る。
2008年9月には、上記の3つの政策分野をテーマに22名の専門家からなる国際タスクフォースを組織し、また多様なアクターの意見や視点を取り入れるため、国際保健分野の著名な研究者・実務家からなる国際諮問委員会を発足させた。10月4日には、3つの論文の草稿を検討するために研究チームを中心にワークショップを開催し、さらに、報告・提言の内容を深め充実させることを目的に、11月3-4日に「保健システム強化に向けたグローバル・アクションに関する国際会議」を東京で開催した。
本プロジェクトでは、一連の研究・対話活動を通して、保健システム強化に向けた具体的なアクションの提言を作成し、2009年1月16日に最終提言書が日本政府に提出された。本提言書は、日本政府からイタリア政府に手渡され、さらに国際的な議論を喚起するため、アジア、アフリカ、欧州、米国などでセミナーシリーズを開催した。
なお、本提言書は国際的な医学雑誌『ランセット』にも掲載された。
- タスクフォース最終提言書「保健システム強化に向けたグローバル・アクション:G8への提言」
和文 PDF[1.5MB] 英文 PDF[2.5MB] 伊文総論 PDF[452KB] 仏文 PDF[1.4MB]
『ランセット』掲載論文 PDF[113KB]
国際諮問委員
ウチェ・アマジゴ | 世界保健機関(WHO)回旋糸状虫症対策アフリカ・プログラム(APOC)ディレクター[ブルキナファソ] |
リンカン・チェン | 中国医療委員会会長[米国] |
デイビッド・デ・フェランティ | ブルッキングス研究所グローバル・ヘルス・イニシアティブ本部長[米国] |
フリオ・フランク | ビル&メリンダ・ゲイツ財団シニア・フェロー、カルソ保健研究所理事長、次期ハーバード大学公衆衛生大学院学部長[メキシコ] |
郭 研(ヤン・グオ) | 北京大学公衆衛生大学院保健政策・管理教授[中国] |
リチャード・ホートン | ランセット誌編集長[英国] |
ウィリアム・シャオ | ハーバード大学公衆衛生大学院 李國鼎(K. T. Li)経済学教授[米国] |
エデュアルド・ミッソーニ | ボッコーニ大学非常勤教授、2001年ジェノバ・ サミットG8保健専門家グループ議長[イタリア] |
シグラン・モゲダル | ノルウェーエイズ担当大使 |
尾身 茂 | 世界保健機関西太平洋事務局事務局長[フィリピン] |
ジム・ヨン・キム | ハーバード大学公衆衛生大学院保健フランソワ・ザビエル・バグノー保健人権センター所長[米国] |
ピーター・ピオット | 国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長[スイス] |
スジャタ・ラオ | インド・エイズ対策機構(NACO) |
ミリアム・ウェレ | ケニア国家エイズ対策委員会(NACC)委員長、野口英世アフリカ賞受賞者 |
スウィット・ウィブルポルプラサート | タイ公衆衛生省疾病予防上級顧問 |
タスク・フォース
ディレクター: | |
武見 敬三 | ハーバード大学公衆衛生大学院リサーチ・フェロー、 (財)日本国際交流センターシニア・フェロー |
総括論文共同執筆: | |
武見 敬三 | |
マイケル・ライシュ | ハーバード大学公衆衛生大学院国際保健政策武見太郎記念講座教授[米国] |
文献調査: | |
勝間 靖 | 早稲田大学アジア太平洋研究センター教授 |
仲佐 保 | 国立国際医療センター国際医療協力局派遣協力第二課課長 |
中村 安秀 | 大阪大学大学院人間科学研究科教授 |
リサーチ・チーム: | |
[保健情報] | |
執筆者: | |
渋谷 健司 | 東京大学医学系研究科 国際保健計画学教授 |
特別アドバイザー: | |
クリストファー・マレー | ワシントン大学保健指標・評価研究所所長[米国] |
レビューワー: | |
ティーズ・ボーマ | 世界保健機関(WHO)保健統計・情報担当部長[スイス] |
アラン・ロペス | クイーンズランド大学公衆衛生大学院院長[オーストラリア] |
オスマン・アリマミー・サンコー | INDEPTHネットワーク事務局長[ガーナ] |
[保健財政] | |
執筆者: | |
ラビンドラ・ランナン・エリヤ | スリランカ保健政策研究所事務局長兼フェロー |
特別アドバイザー: | |
ウィリアム・シャオ | ハーバード大学公衆衛生大学院李國鼎(K. T. Li)経済学教授[米国] |
レビューワー: | |
アマンダ・グラスマン | 中米開発銀行保健・社会的保護首席専門官[米国] |
アダム・ワグスタッフ | 世界銀行開発調査部(人間開発・公的サービスチーム)兼東アジア・太平洋地域人間開発部 保健担当リード・エコノミスト[米国] |
ボン・ミン・ヤン | ソウル国立大学公衆衛生大学院経済学教授[韓国] |
[保健医療人材] | |
執筆者: | |
神馬 征峰 | 東京大学医学系研究科 国際地域保健学教授 |
特別アドバイザー: | |
リンカン・チェン | 中国医療委員会会長[米国] |
レビューワー: | |
トーマス・ボッサート | ハーバード公衆衛生大学院国際保健システム・プログラム・ディレクター[米国] |
ローラ・ダーレ | 保健科学・研修・調査・開発センター(CHESTRAD)所長[ナイジェリア] |
ティモシー・エバンス | WHO保健情報エビデンス研究担当事務局長補 |
エドワード・ミルス | ブリティッシュ・コロンビア・エイズ研究拠点センター研究員[カナダ] |
スウィット・ウィブルポルプラサート | タイ公衆衛生省疾病予防上級顧問(国際諮問委員兼任) |