活動報告
第29回日韓フォーラムが、2021年12月3日に東京とソウルの会場をオンライン会議システムで結んで、開催されました。日韓フォーラムは、1993年に細川護煕総理大臣と金泳三大統領との日韓首脳会談に基づき設置された民間レベルの政策協議のためのフォーラムで、Korea Foundationが韓国側事務局を、日本国際交流センター(JCIE)が日本側事務局を務めています。日米間の民間レベルの会議である「下田会議」をモデルとして、未来志向の日韓関係の在り方を検討するために、両国のオピニオン・リーダーの参加のもと、政治、経済、文化など幅広い分野にわたり両国の交流の推進を図っており、1993年以来、毎年開催されています。
新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、昨年に引き続き、オンライン会議での開催となりましたが、画面を通して、両国参加者約40名が率直に意見を交換しました。サイドイベントとして、日韓の学生による第7回日韓ジュニアフォーラム、第6回日韓フォーラム賞授賞式が、開催されました。
第1セッション「日韓国内政治状況と世論」では、岸田政権の対韓認識や外交姿勢、韓国大統領選挙に対する展望と対日認識、両国内の政治社会勢力の相互認識について、各種世論調査から読み取れる両国のナショナリズム的な世論動向を踏まえて、率直な議論が行われました。
第2セッション「米中関係、インド太平洋地域の秩序と日韓の対応」では、米中対立、北朝鮮を巡る戦略的対応、インド太平洋・QUADなど地域的枠組みへの両国の関与、台湾情勢、経済安全保障に関して、現状分析を踏まえ、多角的な意見交換を行いました。
第3セッション「日韓経済・産業技術における協力」では、グローバル・バリューチェーンにおける日韓経済・産業技術協力の方策や、日韓が協力していかに産業競争力を高めていくか、また両国に横たわる輸出規制問題など幅広い分野について議論が展開されました。
第4セッション「日韓葛藤の懸案をどう乗り越えるか」では、これまでの「日韓モデル」とも言える両国の和解と繁栄の平和プロセスへの正しい認識・評価の必要性を踏まえつつ、未来に向けての両国関係を更に発展させていくための官民の役割について具体的に協議しました。
会議アジェンダ
参加者リスト
第7回日韓ジュニアフォーラム
第7回日韓ジュニアフォーラムが、日韓フォーラムに先立ち、11月29日にソウル市内で開催されました。日韓両国より10名ずつ大学生・大学院生が参加し、メタバースなどの新たな技術を用いた次世代の交流事業の可能性などを議論し、提言にまとめました。また、日韓の学生代表が日韓フォーラムの席上、議論内容の紹介と提言の説明を行いました。
第6回日韓フォーラム賞
第6回日韓フォーラム賞が、日韓フォーラムの席上(ソウル会場)、エルエスエイチアジア奨学会の創設者である辛潤賛氏に授与されました。辛氏は、2001年、JR新大久保駅で、線路に落ちた男性を助けようとして自らも犠牲になった当時大学生であった李秀賢氏の母親で、同氏の父親の故李盛大氏と共に事故後に寄せられた見舞金や弔慰金を基に基金を設立し、日本で学ぶアジア出身留学生に奨学金を支給する活動を継続しています。辛氏は授賞式で、亡き息子の意思を継ぎ、今後も日韓を繋ぐ役割を果たしていきたいと涙ながらに謝辞を述べました。