活動報告

日本国際交流センター(JCIE)は、7月1日、Her Excellency Ms. Prak Sophonneary(カンボジア保健省副長官)、Anne Provo(世界銀行 栄養専門家)、Lesie Elder(GFFシニア栄養スペシャリスト、カンボジア・ベトナム担当フォーカルポイント)の3名をゲストスピーカーにお招きし、第3回目となるグローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)に関するセミナー“The GFF’s Impact on the Ground—Case of the Nutrition Project in Cambodia“をオンラインで開催しました。

 

今回は、GFFの支援国の一つであるカンボジアに焦点を当て、カンボジア国内での母子・青少年保健分野におけるGFFの役割や効果、課題について検討しました。特に、今年12月に開催される「東京栄養サミット」へ向け、Prak Sophonneary氏から同国の栄養状況とプロジェクト概要について、Anne Provo氏から、世銀の視点でみたGFFプロジェクトの特徴について、そしてGFFのフォーカルポイント Lesie Elder氏から、GFFによる栄養プロジェクトの付加価値について、それぞれお話をいただき、立体的に当国での状況を理解いただく機会になりました。

 

本セミナーには、関係省庁、二国間援助実施機関、NGO、アカデミア等から母子保健、栄養、保健財政分野の有識者・実務家 41名が参加し、議論を交わしました。 

 

報告書は、こちらからお読みいただけます。

 

3名の講師の発表要点は以下の通りです。

 

Her Excellency Ms. Prak Sophonneary

カンボジア栄養プロジェクト(CNP)

栄養プロジェクトをカンボジアのフラッグシッププログラムとしてGFF、世銀、二国間援助機関と共に計画した。母子保健・栄養サービスの質と利用を改善することをプロジェクト目標とし、地方や少数民族居住地など保健指標の悪い7州(人口1,676,831人)で実施中。

プロジェクトは以下3つのコンポーネントからなっている。

  1. プライオリティーが高い保健サービスの提供を強化。
  2. コミュニティレベルでの住民の要望喚起と透明性確保。
  3. 効果的かつ、持続可能なプロジェクト実施の確保。

 

 

 

Anne Provo

世銀とGFFのアプローチ

カンボジアにおけるアプローチには以下の特徴がある。

  • CNPはカンボジア政府によるセクターを超えた意欲的な取組みであり、既存の保健セクターのプラットフォームの上に計画された。
  • コミュニティの動員によって、保健サービス提供の機会を広げる。
  • 地方政府における母子の栄養、予防接種、新生児ケアへの需要喚起、集中、透明性、リソース動員を促進する。
  • 保健システム強化と能力強化に重点を置くことで、財政、サービス提供、モニタリングの持続可能性へ繋げる。

 

 

Lesie Elder

GFFによる栄養支援、7つの強み

GFFが支援を行っている36か国のうち、21か国で実施された投資計画のすべてにおいて栄養のコンポーネントが含まれている。

GFFの強みとして、以下が挙げられる。

  1. GFFの支援メカニズムを通じて、国主導によるスケールアップと持続可能性の確保を図る。
  2. マルチセクターによるアプローチが必要な栄養課題について、“政府全体での取り組み”を奨励する。
  3. 栄養支援へ国内資金を動員するための財政改革と、効率的な支出を行う。
  4. ヘルスシステム強化の中に栄養を含める。
  5. 成果ベースのアプローチを通じた栄養サービス提供を動機付ける。
  6. 最も脆弱な層に支援を届けることで成果を最大化する。
  7. データシステムの強化と戦略的なデータ利用により結果の透明性を改善する。

 

 

 

講師プロフィール

  • Her Excellency Ms. Prak Sophonneary 

カンボジア保健省副長官  

カンボジア栄養プロジェクト(CNP)副プロジェクトコーディネーター。前国家栄養プログラム(National Nutrition Program)長。

 

  • Anne Provo 

世界銀行 栄養専門家 

公衆衛生と栄養分野の専門家。エビデンスに基づく政策及びプログラムのデザインと構築について、東アフリカ、南アジア、東アジア及び太平洋地域各国での経験を持つ。現在は、世界銀行の栄養専門家として、東アジア及び太平洋地域チームに対して、栄養に特化した、または栄養に配慮が必要な各種の取り組み(主要領域は保健、農業、社会的保護、幼児の発達及び WASH)に関する技術及び運営面での支援を行っている。

 

  • Lesie Elder 

GFF シニア栄養スペシャリスト、カンボジア・ベトナム担当フォーカルポイント GFF の栄養ポートフォリオを担当し、世界銀行の人的資本プロジェクトとのパートナーシップ を主導。国際保健分野で25 年以上の経験を持ち、乳幼児の授乳習慣や母子の栄養に加え、安全な母子生活や母子の健康に関する幅広い課題に取り組む。 

 


本事業は、2018年より当センターが開始したグローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)に対する支援体制の強化事業の一環で、日本の国際保健・国際協力分野の専門家・実務家によるGFFに対する理解を促進し、GFFの取組みと日本の国際保健政策との連携を強化することを目的に実施されています。

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