活動報告
日本国際交流センター(JCIE)は、2021年2月9日に、「外国ルーツ青少年未来創造事業」(以下、SYDRIS)の一環として、第3回ネットワーク会議をオンライン形式で開催しました。今回は、SYDIRSの助成先団体の関係者に加えて、JCIEとの連携事業に基づき助成先団への支援活動に参加している住友商事の社員を含め、約50人が参加しました。
第3回目となる今回の会議は、外国ルーツ青少年支援分野全体の底上げに欠かせない、多様かつ安定的な資金調達ルートの確保に向けて、「組織内外部のリソースを活用した収益化を考える」をテーマに実施しました。
ネットワーク会議で討議された議論は以下の通りです。
組織の成長と持続可能性を高める資金調達とは
前半では、NPO法人クロスフィールズの代表理事の小沼大地氏をスピーカーとして招いて社会課題に取り組む市民公益活団体にとっての資金調達に関わる戦略について意見交換を行いました。小沼氏は、「働く人」と「社会」をつなぐことを目指しクロスフィールズ立ち上げた創業ストーリーとともに、事業規模を拡大してきた10年間の試行錯誤のなかでの事業の収益化モデル作りへの取り組み、新型コロナウイルス感染拡大による組織運営への打撃に向き合った事業の在り方・ビジョンの練り直しなどについて話されました。また、事業・活動をアップデートしそれを組織の成長へつなげていくには、組織の基盤となる「ビジョン・ミッション・WAY」の設定だけでなく、社会の変化を捉えた練り直しのプロセスが重要であると述べました。
講演を受けて、企業から事業収益を得るという事業の収益化における課題、外国ルーツ青少年支援分野におけるステークホルダーの拡大に向けた観点、企業とのコミュニケーションにおけるスキル、組織としての人材育成・確保などの人事制度など、参加者から多様な側面から質問が出され、活発な意見交換が行われました。小沼氏は、自らの課題でもあるとし、安定的資金調達における寄付金、助成金、事業収益などそれぞれの資金調達のメリット・デメリットを踏まえた多様なルートの確保とともに、支援対象者や地域、ステークホルダーの特徴を踏まえた上で、団体の状況にあった組織としての価値創出とその妥当性・納得性を高めるため戦略立案が重要であると強調しました。
団体における基盤構築と外国ルーツ青少年支援分野の底上げのためのアプローチとは
後半では、SYDRISネットワーク会議のメンバー団体同士で、より安定的な組織・活動基盤を築いていく上での課題とその課題の解決を含む資金調達のための具体的な戦略とアプローチについて考える時間を持ちました。「地域・コミュニティのリソースの活用による収益化」、「当事者のキャリア形成と人材育成による収益化」、「広報と結びつけた学習支援と収益化」という3つのテーマにて、住友商事のサポートメンバーも参加したグループディスカッションを行い、様々な論点を整理、共有しました。
グループディスカッションでは、組織の基盤強化のためには事業から収益を得る仕組みづくりは欠かせないものの、課題を抱えている子どもやその家族に支援・サービスの対価を求める収益モデルは活動の性格上難しいことから、企業をはじめ社会課題の解決という観点から連携、資金提供を広げていくことが重要であるとの声が多くありました。また、外国ルーツ青少年の可能性を認識し、その潜在力を引き出す上ための仕組みづくりには、日本社会に外国ルーツ青少年を取り巻く課題、支援の必要性、成長可能性に対する理解が必要で、社会の認知度を向上させていくより効果的な情報発信、啓発の取り組みが求められるとの意見も出されました。またJCIEから、現在の課題、今後の戦略を考えていく上で、外国ルーツ青少年支援分野の団体だけでなく、企業、行政、教育関係者など多様なステークホルダーを巻き込んだネットワーキングが重要であり、SYDRISのネットワーク会議としても取り組んでいきたいと提案し、賛同が寄せられました。
最後に、活動報告を兼ねて各団体からの新たにリリースしたコンテンツや、イベントなどを紹介し、今後団体間の情報共有、活動における協力をより進めていくこととしました。
資料
・参加者
今までのネットワーク会議