活動報告
第25回日韓フォーラムが、2017年8月28日から30日にかけてソウルで開催されました。日韓フォーラムは、1993年に細川護煕総理大臣と金泳三大統領との日韓首脳会談に基づき設置された民間レベルの政策協議のためのフォーラムで、Korea Foundationが韓国側事務局を、日本国際交流センター(JCIE)が日本側事務局を務めています。日米間の民間レベルの会議である「下田会議」をモデルとして、未来志向の日韓関係の在り方を検討するために、両国のオピニオン・リーダーの参加のもと、政治、経済、文化など幅広い分野にわたり両国の交流の推進を図っており、1993年以来、毎年開催されています。
第25回日韓フォーラム プログラム・参加者
基調講演:文 正仁 大統領統一外交安保特別補佐官
セッションに先立ち、文 正仁 大統領統一外交安保特別補佐官が、基調講演を行い、発足直後である文 在寅政権の「外交安保政策」をテーマに基調講演を行い、①強力な安保と責任国防、②南北間の和解協力と韓半島非核化、③国際協力を主導する外交を柱とした同政権の三大推進戦略など主要外交テーマについて、言及しました。特に北朝鮮問題については、同政権として、北朝鮮の非核化と韓半島平和体制を連携させるとし、対話と制裁および圧力の同時推進は可能であると述べ、完全かつ検証可能な非核化を実現する強い決意を示しました。
セッション1:「北東アジア安保情勢と日韓協力」
第1セッションでは、直前に北朝鮮のICBM発射が明らかになり、北朝鮮情勢への両国の対応とトランプ政権の動向が、討議の大半を占めました。差し迫った危険を目前にして、強い危機意識を共有する日韓両国が緊密に連携し、米国への働きかけを強め、緊張状態をマネージする必要性を参加者全員が共有することとなりました。あくまでも、平和的解決がはかられるよう、日韓両国が主導的役割を果たす重要性が確認されました。
セッション2:「日韓両国の国内情勢と対外戦略の方向性」
第1セッションを踏まえ、両国間に横たわる慰安婦や徴用工賠償問題について、両国民の感情や自尊心を損ないかねない議論を徒らに煽るべきではなく、「共通の価値観」および「戦略的利益」を共有する隣国として、お互いを尊重した関係を再構築すべきであるとの認識が共有されました。
セッション3:「国際経済情勢と日韓経済協力」
自由貿易体制と日韓企業によるビジネス協力について、主に議論が行われました。日韓が協力して、自由貿易体制を牽引すべきという意見が大半を占め、TPPの韓国加入や日韓FTA、RCEPなど、いずれの枠組みであっても、日韓の緊密な連携は避けて通れないとの見解が指摘されました。歴史問題などに影響を受けにくい経済分野で、民間企業同士の共同事業の機会なども活用しながら、重層的な関係を構築することが重要であるとの合意が形成されました。
セッション4:「総合討論」
各セッションの討論を踏まえ、議長声明採択に向けた包括的な討論が行われ、北朝鮮の度重なる挑発行為に対する強い懸念と抗議および以下の具体的提案を盛り込んだ「議長声明」を発表しました。
1.東アジアの平和と安定のための日韓のより緊密な協力作り
2.歴史問題を制御し、戦略的協力関係を強化
3.日韓FTA締結や韓国のTPP加入など通商・経済関係の向上
4.次世代間の相互意識向上とおよび民間交流の拡大
5.2018年平昌冬季五輪、2020年東京五輪での相互協力
第3回日韓ジュニアフォーラム
2015年より、日韓フォーラムのサイドイベントとして開催している、日韓両国の大学・大学院生による日韓ジュニアフォーラムは、本年第3回を数え、20名の参加者が、次世代の日韓交流についての具体的な取り組みについて討議し、代表が、日韓フォーラム参加者に、プレゼンテーションを行いました。第三国において日韓両国の中高生が英語を学習する企画や若者向けに観光客がなかなか訪れない両国の地方都市の魅力を発信する観光ウェブサイトの立ち上げなど、ユニークな提案が出され、日韓フォーラム参加者との討論が、有意義に行われました。
第2回日韓フォーラム賞
2016年に、日韓関係に顕著な貢献をした個人・団体を顕彰する目的で創設された「日韓フォーラム賞」第二回授賞式が開催され、韓国における日本研究の第一人者で、日韓関係史の証人とも言える崔書勉氏(国際韓国研究院院長)に授与されました。