お知らせ
日本国際交流センター(JCIE)は、2019年11月8日に塩崎恭久衆議院議員を委員長に「保健分野のODAのあり方を考える特別委員会」を立ち上げました(メンバー以下参照)。
日本は2000年のG8九州・沖縄サミットでG8ホスト国としては初めて感染症対策を主要議題の一つとして取り上げて以来、グローバルヘルスに関わる政策形成をけん引してきました。2008年のG7北海道洞爺湖サミットでは、感染症対策と保健システム強化のバランスの取れたアプローチの推進、2015年9月の国連総会で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の検討プロセスにおいては、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(注)を後押しし、2016年のG7伊勢志摩サミットでは、強靭な保健システム及び危機へのより良い備えを有したUHCの達成、そしてエボラ出血熱といった健康危機に対応する国際的な体制強化を主導し、薬剤耐性(AMR)への対応強化を確認しました。本年2019年に日本が主催したG20では、UHC達成に向けた保健当局と財務当局との連携を一層後押しすべく、保健大臣・財務大臣合同会合がG20で初めて開催された他、サミット会合では高齢化問題をG20として初めて取り上げました。
SDGs達成年の2030年まで残るところ10年余りとなった今、日本に求められているのは、SDGs目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」及び関連目標の達成に向けて、低・中所得国の国家戦略に沿った形で、日本が合意形成を主導してきた政策概念の具体化を現場レベルで一層後押していくことです。
そこで本特別委員会では、国際貢献の具体的なツールである政府開発援助(ODA)に着目し、ODAのより効果的・戦略的な活用を通じて、日本がSDG3及び関連目標の達成に貢献する方途を検討します。
SDGs採択以来、低・中所得国において、自国や民間の資金を動員する努力が進められる中、開発援助資金は、国内資金では十分対応することが難しい課題や人々への支援の継続を助けることに加え、国内資金及び民間資金を動員し、それを適切に管理・支出・執行するキャパシティを強化する触媒としての機能を果たす必要性が高まっています。
本特別委員会では、こうした国際的潮流も踏まえ、特別委員会の下に組織されたワーキンググループによる調査・分析に基づき委員会で議論を重ね、国内外のグローバルヘルス関係者、開発パートナーとの対話も実施し、2020年夏までに提言をまとめる予定です。なお、本委員会は、「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会(委員長:武見敬三 JCIEシニアフェロー、参議院議員)の活動の一環として、同委員会関係機関協力の下、運営されるものです。
(注)UHCとは「すべての人が適切な予防、治療、リハビリなどの保健医療サービスを、必要な時に支払い可能な費用で受けられる状態」(WHOによる定義)
【特別委員会】
(五十音順)
有泉 秀 | 財務省国際局審議官 |
石井 澄江 | 公益財団法人 ジョイセフ代表理事・理事長 |
稲場 雅紀 | GII/IDIに関する外務省・NGO懇談会代表、一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク政策担当顧問 |
牛尾 光宏 | 茨城県保健福祉部技監兼ひたちなか保健所長、元ベトナム保健省保健政策アドバイザー(JICA専門家) |
大河原 昭夫 | 公益財団法人 日本国際交流センター(JCIE)理事長、「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会幹事 |
岡村 恭子 | 世界銀行グループ保健・栄養・人口局栄養専門家 |
小寺 淸 | 特定非営利活動法人 ウォーターエイドジャパン理事長、英国海外開発研究所上級客員研究員 |
塩崎 恭久 | 衆議院議員、「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会顧問【委員長】 |
鈴木 秀生 | 外務省国際協力局長 |
鈴木 康裕 | 厚生労働省医務技監 |
高須 幸雄 | 国際連合事務総長特別顧問(人間の安全保障担当) |
瀧澤 郁雄 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA)人間開発部次長【ワーキンググループ主査】 |
塚田 玉樹 | 外務省地球規模課題審議官 |
戸田 隆夫 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA)上級審議役 |
武見 敬三 | 参議院議員、JCIEシニア・フェロー、「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会委員長 |
仲 浩史 | 東京大学未来ビジョン研究センター教授 |
中谷 比呂樹 | 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(NCGM)理事、同グローバルヘルス人材戦略センター長、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティチュート(KGRI)特任教授・上席所員、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)会長 |
藤田 則子 | 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(NCGM)国際医療協力局連携協力部長 |
古屋 範子 | 衆議院議員、「グローバルヘルスと人間の安全保障」運営委員会委員 |
牧島 かれん | 衆議院議員 |
馬渕 俊介 | ビル&メリンダ・ゲイツ財団グローバルデリバリー部局シニアアドバイザー |
門間 大吉 | 日本生命相互会社特別顧問 |
※委員はあくまで個人の立場で参加するものとする。
【ワーキンググループ】
(五十音順)
伊藤 聡子 | 公益財団法人 日本国際交流センター(JCIE)執行理事 |
駒田 謙一 | 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(NCGM)国際医療協力局運営企画部保健医療開発課 |
坂元 晴香 | 東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室特任研究員 |
鈴木 智子 | 公益財団法人 日本国際交流センター(JCIE)チーフ・プログラム・オフィサー |
瀬古 素子 | 公益財団法人 日本国際交流センター(JCIE)フェロー |
瀧澤 郁雄 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA)人間開発部次長【主査】 |
永谷 紫織 | 公益財団法人 日本国際交流センター(JCIE)プログラム・アソシエート |
野村 周平 | 慶應義塾大学医学部医療政策・管理学准教授(特任)、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室助教、 |
外務省、財務省、厚生労働省関係者 |