お知らせ
日本国際交流センター(JCIE)では、2023年5月に開催されたG7広島サミット、G7長崎保健大臣会合、G7財務大臣・保健大臣合同会合の成果を踏まえて、今後起こりうるパンデミックに対応しうる国際的な体制強化を後押しし、2024年G7に引き継ぐ課題を明らかにするため、2023年6月末に、「グローバルヘルス・マルチステークホルダー対話:広島からプーリアへ」を立ち上げました。この度、その集大成として、共催機関9組織(JCIE、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、CARB-X、疫病対策イノベーション連合(CEPI)、国際パンデミック対策事務局(IPPS)、パンデミック・アクション・ネットワーク(PAN)、PATHアフリカ地域、国連児童基金(UNICEF)、ウェルカム・トラスト)、19名からなるアドバイザリー・コミッティ(委員長:塩崎恭久 元厚生労働大臣)の名前で、最終報告書”Global Health Multistakeholder Dialogue: From Hiroshima to Puglia—Recommendations to the 2024 G7″をとりまとめ、2023年12月18日にG7メンバーの7カ国及びEUに提出しました。
本提言は、8月上旬に組織されたアドバイザリー・コミッティの議論、9月から10月にかけて実施したグローバル・サウスや市民社会を含む多様なアクターを対象としたオンライン調査、そしてそれらの結果を踏まえて開催された最終会合(2023年12月1日、六本木アカデミーヒルズ)での討議を踏まえて、取りまとめたものです。
主要なメッセージ
G7が踏まえるべき原則:
- パンデミックの予防・備え・対応(PPPR)の強化、薬剤耐性(AMR)対策、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進は人権保護にとって必須なものであり、世界の健康安全保障及び経済に対する投資と位置づける。
- PPPR及び既存の感染症への取り組みに必要な研究開発(R&D)からコミュニティ・システムの強化に至る全ての領域に対して継続的に投資を行い、特に、その全ての取り組みにおける人材の能力強化に重点を置く。
- 上記の取り組みを成功裏に進めるに当たっては、多様な関係者を継続的に巻き込み、戦略的なパートナーシップを推進する。
- AIを含むデジタル・ヘルスの技術をUHCに向けた取り組みや革新的な取り組みを後押しするため、効果的かつ適切に活用する。
- ワンヘルスのプローチをPPPR及びAMR対策の全てのレベルにおいて盛り込み、プラネタリーヘルスの実現に貢献する。
以上を踏まえて、本提言では、以下を実現する上で求められる具体的な施策を提案しています。
- 調和の取れたサーベイランスを強化し、人材の能力強化を図ることで、迅速に感染症の急激な流行を検知し報告する。
- 感染症危機対応医薬品等(MCM)及び抗菌薬のR&Dを促進し、タイムリーで公平なアクセスを実現する。
- 既存の資金の効果と効率性を高め、PPPR、強靱な保健システムの構築に必要な追加的・持続的な資金を動員する。