お知らせ
アジア健康長寿イノベーション賞2021
受賞団体決定
日本国際交流センター(理事長・大河原昭夫、以下JCIE)ならびに東アジア・アセアン経済研究センター(事務総長・ 西村英俊、以下ERIA)は、アジア健康長寿イノベーション賞2021(第2回公募)の受賞団体を決定し、本日発表いたしましたのでお知らせいたします。
日本を含むアジア10か国・地域から応募があり、アジアの有識者で構成される国際選考委員会による厳正なる審査の結果、第2回の受賞者は以下の10団体に決定いたしました。本年は特に、コロナ禍が高齢者に与えている影響の大きさに鑑み、新型コロナ対応特別賞を設けています。
「アジア健康長寿イノベーション賞」は、日本政府によるアジア健康構想の一環として、ERIAおよびJCIE が2020年に創設した表彰事業で、健康長寿の達成、高齢者ケアの向上に資する取り組みをアジア各国から募集し表彰するものです。テクノロジー&イノベーション、コミュニティ、自立支援の3分野で、高齢化による様々な課題の解決となる革新的なプログラム、サービス、製品、政策を募集・表彰することにより、アジア地域内で優れた知見を共有、その実際の応用を後押し、この地域の共通課題である急速な高齢化に共に対応していくことを目的としています。
アジア健康長寿イノベーション賞 大 賞
【テクノロジー&イノベーション部門】 テツユウ・ヘルスケア・ホールディングス (Tetsuyu Healthcare Holdings)(シンガポール) 「CARES4WOUNDS」
【コミュニティ部門】 バンコク首都庁 (Bangkok Metropolitan Administration)(タイ) 「介護予防のための首都庁モデル」
パトゥムタニ県ブイントー市、タップマ―市、タマサート大学、神奈川県湯河原町、野毛坂グローカル(Bueng Yitho Municipality and Partners)(タイ) 「多様な機関との連携を通じた包括的ケアモデルSTRONGプログラムの他自治体への普及」
【自立支援部門】 羽立工業株式会社、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター、株式会社コサイコンサルタンツ(Hatachi Industry, Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, and Kosai Consultants)(タイ/日本) 「タイ東北部における高齢者の健康増進」
|
準 大 賞 一般社団法人WheeLog(日本) 「みんなでつくるバリアフリーマップ WheeLog!」
国立台湾大学医学部付属病院雲林病院 (National Taiwan University Hospital Yunlin Branch) (台湾) 「へき地高齢者のためのヒューストン・アポロ地域保健モデル」
医療法人大誠会グループ(日本) 「認知症の行動障害を改善し、その人らしく生きることを可能にする大誠会スタイルのケア」
|
新型コロナ対応特別賞 マレーシア高齢化研究所(Malaysian Research Institute on Ageing)(マレーシア) 「新型コロナ感染症流行下のケア施設内での自立型ロボットによる非接触デリバリーと利用者の訓練プログラム」
松戸プロジェクト・コンソーシアム(千葉大学、松戸市、住民ボランティア、株式会社Biz Brew、一般社団法人日本元気シニア総研はれの日サロン、日本老年学的評価研究機構)(Matsudo Project Consortium)(日本) 「アフターコロナ時代の新たな都市型介護予防モデル:コレクティブインパクトによるオンライン『通いの場』導入の試み」
インドネシア・ラマランシア財団(Indonesia Ramah Lansia West Java Chapter)(インドネシア) 「新型コロナ感染症流行下の高齢者に寄り添うボランティアプログラム」
|
各受賞事例の詳細記事(英文)はAHWIN公式ウェブサイトをご覧ください
日本語の事例概要はこちらをご覧ください
日本国内選考
日本国内では、1次選考として国内選考プロセスを設けました。国内選考委員会の厳正な審査により最優秀事例・優秀事例を以下の通り決定し、このうち最優秀事例を国際選考に提出いたしました。国内選考委員会の中村秀一委員長(一般社団法人医療介護福祉政策研究フォーラム理事長)による選後評に国内選考の傾向・今後への期待が記載されておりますので是非ご覧ください。
– 最優秀事例 - (五十音順)
一般社団法人WheeLog (東京都)
「みんなでつくるバリアフリーマップ WheeLog!」
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(愛知県)
「国立長寿医療研究センター在宅活動ガイド:NCGG-HEPOP 2020の開発」
医療法人大誠会グループ (群馬県)
「認知症の行動障害を改善し、その人らしく生きることを可能にする『大誠会スタイル』のケア」
TANOTECH株式会社 (神奈川県)
「楽しさを作るテクノロジー「TANO」で教育福祉を繋ぐ」
松戸プロジェクト・コンソーシアム(千葉大学、松戸市、住民ボランティア、株式会社Biz Brew、一般社団法人日本元気シニア総研はれの日サロン、日本老年学的評価研究機構)(千葉県)
「アフターコロナ時代の新たな都市型介護予防モデル:コレクティブ・インパクトによるオンライン「通いの場」導入の試み」
御船町役場 (熊本県)
「データの高度活用によるプライマリヘルスケア型の健康長寿戦略」
– 優秀事例 - (五十音順)
鹿ノ台いきいき街づくり会(奈良県)
「高齢者に対する交流支援活動と無料送迎支援活動(鹿ノ台スマートマインドタウン)」
ショッピングリハビリカンパニー株式会社(島根県)
「生活の動線での活きたリハビリを提供する介護予防事業「ショッピングリハビリ®」で人と街を元気に」
一般社団法人 千葉県歯科医師会(千葉県)
「”8029(ハチマル肉)運動” 健康長寿自立支援に向けた千葉県行政・研究機関との取り組み」
100BLG株式会社(神奈川県)
「はたらくデイサービス 「つながる」+「役割」+「仲間」 全国のまちに、認知症の人が“生きる拠点”をつくる」
横浜市西区第4地区社会福祉協議会、横浜市西区第4地区連合自治会(神奈川県)
「多様な組織・人を巻き込んだ、住民中心の住民によるコミュニティ高齢者ケア」
株式会社早稲田エルダリーヘルス事業団(東京都)
「歩行機能評価のデータで繋がる医療・介護現場を目指して〜ICTの利活用〜」
【アジア健康長寿イノベーション賞(HAPI)の背景】
本賞が創設された背景には、アジアにおける人口高齢化が非常に速いスピードで進展していることが挙げられます。現在の東アジアと東南アジアの 65 歳以上高齢者人口は約 2.7億人ですが、2050年には5.7億人と2倍以上になると推計されています*。65歳以上の高齢者の人口割合が7%を超えた社会を「高齢化社会」(aging society) 、14%を超えた社会を「高齢社会」(aged society) と呼びますが、欧米では高齢化社会から高齢社会に変わるまで何世代もかかったのに対し、日本は24年、アジアの多くの国では、日本と同程度か、より短い期間で高齢社会に移行すると予想されています。
アジアでは、かつての日本のように複数の世代が一緒に暮らし、家族が年老いた親の世話をする社会規範が色濃く残っています。しかしその一方で、多くの国で経済発展と産業構造の変化、都市部への人の移動や単身世帯の増加などにより、家族の中での高齢者ケアの担い手が減ってきているのも現状です。ケアを家族だけのものとせず、公的サービスに加え、コミュニティの仕組みの整備や民間事業の取り組みを活用することで、どのような人も予防、医療や介護のサービスにアクセスできるようにすることが求められています。健康な高齢者を増やすことで高齢者の経済的・社会的な自立を促し、経済的にも社会的にも活力ある健康長寿社会を構築することは、今後のアジアの持続可能な成長にとり重要課題となっています。
* United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division, World Population Prospects: The 2019 Revision, Key Findings and Advance Tables (2019).
詳細は以下をご覧ください。
- Healthy Aging Prize for Asian Innovation(英文): https://www.ahwin.org/award
- アジア健康長寿イノベーション賞(和文): https://recordjcie.com/report/activity-report-6515/
- アジア健康長寿イノベーション賞2020(第1回公募)受賞団体:https://recordjcie.com/2020/07/27/post-5908/
- Asia Health and Wellbeing Initiative (アジア健康構想の高齢化関係の特設ウェブサイト)(英文):https://www.ahwin.org/
- アジアの高齢化の現状(英文): https://www.ahwin.org/data-on-aging/
【日本国際交流センター(JCIE)】
日本国際交流センターは、民間レベルでの政策対話と国際協力を推進する公益法人。民間外交のパイオニアとして、1970年の設立以来、非政府・非営利の立場からグローバルな知的交流事業を実施している。東京とニューヨークを拠点に、外交・安全保障、グローバルヘルス(国際保健)、ダイバーシティ、グローバル化と外国人財などの多角的なテーマに取り組む。