活動報告
日本国際交流センター(JCIE)は、2014年10月、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室と連携し、2016年のG7伊勢志摩サミットに向けたグローバルヘルス・ワーキンググループを発足させ、サミット開催を控えた2016年5月に伊勢志摩サミットへの政策提言をとりまとめました。
日本政府は、2013年に国際保健外交戦略を発表し、また安倍晋三総理大臣が同年9月に英医学誌ランセットに論文「我が国の国際保健外交戦略-なぜ今重要か-」を寄稿するなど、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を目指しています。2015年9月に持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、高齢化などの人口構造の変化、経済産業構造の変化、そして疾病構造の変化の中で、いかにUHCを公平で持続可能なものとするかが課題となっています。また、エボラ出血熱への対応から得た教訓を踏まえて、より効果的なグローバルヘルスのガバナンスを構築することも求められています。
このような背景から、本ワーキンググループは、JCIEが過去に行ってきた「ランセット日本特集号プロジェクト」や「UHCに関する日本・世銀共同研究プログラム」の成果を踏まえ、以下の7テーマに沿って1年半に及ぶ研究を行い、サミット直前の2016年5月に、英医学誌ランセット(2016年5月21日号)に、論文 “Protecting human security: proposals for the G7 Ise-Shima Summit in Japan” ならびに、その日本語版として「人間の安全保障を実現するために:伊勢志摩サミットのための提言」[562KB]を発表しました。
なお、本研究は、厚生労働科学費補助金を受けて実施され、以下にも研究成果が掲載されています。
ワーキンググループの活動
マヒドン皇太子賞会議(PMAC)2016への参加(2016年1月26-31日)
2016年1月27日、マヒドン皇太子賞会議(PMAC)のサイド・イベントとしてワークショップ「2016年日本でのG7サミットに向けた政策提言:強靭で持続可能な保健システムの構築を目指して」を開催し、2016年G7伊勢志摩サミットに向けた政策提言の発表および研究の報告を行い、各国からの参加者からフィードバックを得ました。また、30日の本会議全体会合では、ワークショップでの議論も踏まえ武見委員長が基調講演を行いました。
ワークショップ プログラム(英文)[430KB]
マヒドン皇太子賞会議(PMAC)2015への参加(2015年1月26-31日)
2015年1月28日、マヒドン皇太子賞会議(PMAC)のサイド・イベントとしてワークショップ「より持続可能で公平なUHCのために―2016年日本G7への提言」を開催し、研究の経過報告を行い、各国からの参加者からフィードバックを得ました。また、29日の本会議全体会合では、ワークショップでの議論も踏まえ武見委員長が基調講演を行いました。
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ワークショップ プログラム(英文)[300KB]
テーマ
1.UHCの持続性に関する総括マクロビジョン
2.UHCの社会経済的インパクトと政策的意義(政治経済分析含む)
3.我が国のUHCの3Es(equity, effectiveness and efficiency)
4.UHCの実践的手法と教訓
5.途上国の現場における事例とUHCに関わる人材育成
6.UHC達成のためのグローバルヘルス・ガバナンス分析
7.グローバルヘルス・イノベーションを促進する制度構築のあり方
メンバー
2016年5月現在
武見 敬三 | (公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、参議院議員[委員長] |
渋谷 健司 | 東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授[総括] |
橋本 英樹 | 東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学教室教授[副総括] |
(以下、五十音順) | |
明石 秀親 | (独)国立国際医療研究センター国際医療協力局連携協力部長 [NCGMリード] |
飯塚 敏晃 | 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 |
小塩 隆士 | 一橋大学経済学研究所教授 |
勝間 靖 | 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(国際関係学専攻)研究科長・アジア太平洋研究センター所長 |
熊川 寿郎 | 国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部主任研究官 [NIPHリード] |
城山 英明 | 東京大学大学院法学政治学研究科/東京大学政策ビジョン研究センター教授/センター長 |
杉下 智彦 | (独)国際協力機構(JICA)国際協力専門員・保健分野課題アドバイザー[JICAリード] |
スリングスビーBT | 公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHITファンド)CEO兼専務理事 |
三好 知明 | (独)国立国際医療研究センター国際医療協力局人材育成部長[NCGMリード] |
野口 晴子 | 早稲田大学高等研究所政治経済学術院教授 |
林 玲子 | 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部部長 |
康永 秀生 | 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学教授 |
【研究協力者】 | |
小野 智子 | (独)国際協力機構人間開発部保健第二グループ保健第四課調査役 |
鹿角 契 | GHITファンド投資開発戦略・ディレクター |
金森 サヤ子 | 一般社団法人JIGH調査事業本部部長/チーフ・ヘルス・オフィサー |
近藤 尚己 | 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻保健社会行動学分野准教授 |
佐藤 智晶 | 青山学院大学法学部准教授 |
瀧澤 郁雄 | (独)国際協力機構人間開発部第一グループ次長 |
玉村 文平 | GHITファンドブランド開発・ディレクター |
堀井 聡子 | 国立保健医療科学院国際協力研究部主任研究官 |
松尾 真紀子 | 東京大学政策ビジョン研究センター 特任研究員 |
馬渕 俊介 | 世界銀行保健スペシャリスト |
村上 友紀 | 経済協力開発機構(OECD)雇用労働社会問題局ヘルス・エコノミスト |
安田 佳代 | 首都大学東京都市教養学部法学系准教授 |
若手官僚チーム | |
【協力機関】
内閣官房、厚生労働省、外務省、財務省
(独)国際協力機構(JICA)、国立保健医療科学院(NIPH)、(独)国立国際医療研究センター(NCGM)
*この他、国内外の専門家からも助言を得ながら研究活動を実施。