活動報告
日本国際交流センター(JCIE)では、12月20日に休眠預金事業「外国ルーツ青少年の教育スタート支援事業」の一環として、第3回全体会議をオンライン形式で開催しました。当日は、本事業の7つの助成先団体及び関係者を含め、23名が参加しました。
今回の会議では、第2回目の全体会議に引き続き、外国ルーツ青少年の来日後の初期段階における支援をテーマに開催されました。外国ルーツの青少年・若者たちがスムーズに日本社会に統合し、包摂されるための、特に、初期段階での適切な支援方法や、その支援が目指すべき目標状態、それを達成するための支援体制について議論を行いました。
前半では、7団体のうち、『社会福祉法人さぽうと21』の学習支援室チーフ・コーディネーターの矢崎理恵氏と『特定非営利活動法人青少年自立援助センター(YSC)』の定住外国人支援事業部責任者である田中宝紀氏の2名より、問題提起を行っていただきました。矢崎氏からは、初期段階において、日本語や教科など、学習面におけるサポートも大事だが、学習が始まる前に、日本社会での暮らしに慣れるための「生活への適応支援」があった方がより効果的な学習につながると述べました。また、子どもたちが学べる環境をつくるという観点から、初期段階における支援として親への支援の重要性を強調しました。親への日本語習得支援や生活に必要な情報提供を含む伴走支援は、親が日本で生活者として自立できるようにし、子どもたちが家庭内でも学習できる環境を整える一助となることで、ヤングケアラーの予防や非行化の予防につながると述べました。
田中氏からは、義務教育年齢層に対しては、在籍校内での支援の有無と内容に加え、先生やクラスメイトなどの他者と、自立的・自発的にコミュニケーションができること、そして、ジェスチャーを含め、伝えようとすることを理解しようとしてくれる環境につながることの大切さについて話しました。また、義務教育年齢以上の段階においては、社会的所属を持たない状況になりやすいため、進学や就労など、選択するための情報やサポートにいつでもアクセスできる状態の実現が重要であると述べました。
後半では、初期段階における支援の在り方について、現場レベルと、体制レベルに分かれて、グループディスカッションを行いました。現場レベルでのグループでは、外国ルーツ青少年が日本社会にスムーズに適応できるようにするために、各団体が工夫していることに対する共有と現在の初期段階における支援から見えている課題とその背景、そしてその課題を改善するために必要な取り組みについて、具体的な例を紹介しつつ、情報交換を行いました。また、体制レベルのグループでは、外国ルーツ青少年の立場から、初期段階における支援が目指すべき目標状態と現在の支援体制における課題、そして、その改善のために必要な取り組みについて議論しました。議論の中では、地域や学校によって、支援の内容や量と質が異なり、その差が大きいことに対して、どの地域や学校でも最低限度のサポートが確保されるべきだというミニマムスタンダードの設定と共有が必要であることや、学校や自治体との連携体制を踏まえた学校内における支援が少しずつ増えているが、その更なる拡充が必要であり、外国ルーツ青少年に対する初期段階における支援を社会全体で対応する意識と姿勢が求められているという意見が共有されました。
資料
・次第
全体会議